ちょっと待ったその感覚

たまに思うことがある。

この人とぼくは、今同じ匂いを感じているのか?

あの子とぼくは、今同じ物が見えているのか?

この子とあの人は、同じ味を楽しんでいるのか?

自分は自分以外の誰かになれないから、実際はどうなのかわからない。

パンプキンケーキの匂いは、もしかしたらこの人には「ぼくにとって」のイチゴの味なのではないか。だからこの人はパンプキンをイチゴと勘違いしてるんじゃないかな。

赤い光が夜空に広がって見えるけど、あの子には「ぼくにとって」の黄色に見えるのではないか。だから、一般的な赤色を黄色と見なしているかもしれない。

ぼくはぼく以外の何者でもないから、その真相を確かめられない。

みんなもみんな以外の何者でもないから、その真相を確かめられない。

でも、もしかしたら、そうなのかもしれない。