誰かがいなくても時間は過ぎる

 

同期だったあいつは、奇跡的にある自治体の教採に合格したが、名簿搭載期間延長制度が使えないから院を修了せずに中退し、この春からぼくより一年早く教員として働き始めた。

前まで日々の何気ない会話があったけど、気づいたら研究室から彼はいなくなってて、、でも、何事もなかったようにぼくのは日々は過ぎていく。

 

学部生の頃、「こいつらと離れたらこの先の人生つまんないんだろうなぁ」なんて思える友人・後輩・先輩がいた。今を見つめてみれば、それなりに楽しく生活できてるし、満足してる自分がいる。

 

高校生の頃、「この人じゃなきゃこの先やっていけない」なんて思ってたあの子は、今はどこで何してるか定かじゃないし頭の片隅程度にしかもう覚えてない。でも今は、ぼくに「この人じゃなきゃダメ」と思える素敵な恋人がいる。

 

中学生の頃に、この先生の指導がなかったら、この先の数学とか英語、不安で不安でしょうがないなんて思ってたけど、算数は使うけど数学に関しては微塵も使わない生活を送ってるし、英語ならそれなりになんとかなってて、英語を使った職業に就くことになったよ。完璧ではないけど、これから英語でいろいろ本を出版していくことになりそうだよ。

 

過去を振り返ってみたら、わかった。

 

「この人がいなくなったらどうしよう」と思える人が居なくなっても、時間は残酷だから待ってくれないし、取り残されたくないから自分でなんとかしようともがいて、苦しんで、気づけばなんとかなってるんだなあと。

「この人」ってのが、たとえ母や父、奥さんや旦那、愛すべき我が子であったとしても。

 

「時間が解決してくれる」っていう多用される言葉、

もしかしたらそういうことなのかもしれない。

 

「うむ、そう考えると、別れなんて怖くない」

 

とまでは断言できないが、なんだかこの世の真理を手に入れた気がして、前より自分が強くなった気がする。