くっきり二重ライン,消失したまふことなかれ

大学4年の冬頃に,突如,左目がくっきり二重になった。

なぜか左だけ。

 

「一生二重」なんていう四字熟語があったなら,

ぼくがまさにそれを体現している。

それくらい一重だった。

 

くっきり二重になったその頃,

ちょうど今通っている大学院から,合格通知をいただいた日でもあった。

 

二重なんて別の次元の話だった。

その次元に突入したことがうれしくて,

当時ぼくが働いていたアルバイト先の社員の子に,

「見て見て!」と見せびらかしていた。

その子とは普段あんまり話さなかったから,今思えば,相当嬉しかったんだろうな,自分。

 

そんな二重だが,最近,くっきりさが弱まってきている。

 

うっすらに近づいているというかなんというか。。

かろうじて,「あぁ...二重っちゃあ二重だね」

と言われるくらいの薄さへ。

 

このペースだと,大学院修了に合わせてくっきりラインが消失してしまう気がする。

 

もとの「一生一重」の自分に戻ってしまうようだ。

 

 

もしそうなったとしたら,

この二重はぼくを何かから守ってくれていたのだろうか。

あるいは何かを与えてくれていたのだろうか。

 

ほら,アニメの世界とかであるじゃない?

冒険とか物語が始まると,お守りとして,

ペンダントを身に着けたり,ペット的モンスターをお供にしたり..

で,夢が叶うと首に掛けていたペンダントが割れたりとか,

パートナーのモンスターが自分の世界に戻っちゃうとか。

 

で,ハッピーエンドー拍手喝采ー終わりー

みたいな。

 

そういう感じなのかな。

 

なんてメルヘンな。

 

 

んー,

ここを修了して巣立ったとて,

まだ何も叶っちゃいないよ,ぼく。

 

確かに,

教採では希望校種に受かったし

『学び合い』実践者になれたし..

プラスでなんかすごいこともさせてもらったし。

おおむね入学前の目標は達成できている。

 

でも,まだ,それでも,

ハッピーエンドにしては中途半端なタイミングじゃないすか。

 

始まりがあれば終わりがありますが,

この二重が消え去ってしまうと,

何かとてつもないものを手放してしまう気がして,心もとない。

 

それなりに順風満帆だったこの二年間は,この二重のおかげだとしたら,これからはどんな時間が待ち受けているのか,少し不安である。