ハッピーホワイトデー

小4のバレンタインデーに,

手紙付きの本命チョコをもらったことがある。

 

手紙の内容は細かいところまで覚えていないが,とりあえず「めちゃ好き。」という思いが書き綴られていた。

 

ぼくはその子に対して特別な思いを抱いたことがないし,

まだ異性を好きになる感情が未完成だったから,

チョコと手紙を貰っても,何もドキドキしなかった。

 

ただ,「貰ったら返す,それが礼儀」というバレンタインの教えは知っていたから,母さんに相談したら,クッキーのお返しがベスト,というアドバイスを受けた。

 

家から3キロほど離れたスーパーに行って,

母さんと一緒に選んだ記憶がある。

 

ホワイトデーの日。

その子に対して何も恋愛感情を抱いていないはずなのに,やけにドキドキしていた。

たぶん,「学校にお菓子を持ってくる」という校則違反意識と,ぼくがお返しをする瞬間を周りの男子に冷やかされるのではなかろうかという羞恥心からだったのだろう。

 

帰りの会が終わり,廊下にあったカバンからお返しのブツを取り出し,いつ渡そうか迷っていると,バレンタインデーにチョコをくれたあの子がぼくの方に向かってきた。

そして一方的に,

「お返しはどこ?」

と聞いてきた。

「へ..?」と思い,

「はい..」と渡すと,

その子がそそくさと帰っていった。あの瞬間は今でも記憶にある。

興醒めというか萎えの極みだった。

 

「なんだよホワイトデーって!」

「喜んでくれないのおかしくない?」

と,幼心ながら思っていた。

 

そこからホワイトデーにはあまり良い印象はない。

 

というか,それ以降,義理チョコしかもらえない人生だった。

義理チョコを渡されたから,義理クッキーをお返しする。

無味無臭で,どこか自動化されたお返し。

 

と言っても,高2のバレンタインデーに関しては,他クラスの子から本命チョコ(たしか手作りプリン)をもらったから,それに見合うお返しをした。相手は喜んでいたはずなんだけど,非常に断片的で,表情や言葉は,うまく思い出せない。。

 

昨日は,恋人に会っていた。

 

バレンタインデーにチョコをもらった。

 

お返しに,ぼくは手作りのパンプキンプリンタルトケーキを作ってあげた。

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普段落ち着いている恋人だけど,

喜びの感情を感じ取れたから,

たぶんこれからもずっと,ぼくの心に残るんだろうな。

 

Happy Belated Whiteday.