野球少年がやらかした過ち
中学のとき、ぼくは野球部に所属していました。
あれは確か中2のとき。
地区で、春の大会があったんだけど、その前日、部の先輩や仲間と、部活後に小さな駄菓子屋で「買い食い」をしました。
決起集会的な感じで、ダサい学校指定のジャージとユニフォームを着て、チャリに乗りながら駄弁っては食べていました。
「学校から帰る途中、寄り道してお店で食料を買うのは禁止」という謎の校則がぼくの中学にはありました。
そのとき、しっかり破ってましたね。
野球部の顧問は、生活指導の先生でした。
「御法度中」を、
ちょうどその顧問に見られました。
その先生は車に乗って帰ってる途中で、ぼくらをギロっと、でもすごい冷めた目で見て、車から降りることなく帰って行きました。
「あ、バレた」
一同、ガクブルでした。
案の定、次の日、つまり試合の日です。
試合会場は学校からチャリで10分のところだったので、試合開始のギリギリまで学校のグラウンドで練習するはずだったのですが、ほとんど説教で終わりましたね。
8時練習開始で、5分くらいアップしてると、先生がいつものようにグラウンドの端から歩いてきた。
帽子をとって、
「ご苦労様でぇす!」
とみんなであいさつをする。
(立場が上の顧問であっても「お疲れ様です!」と言わない伝統が野球部にはあった)
反応はなく、ただ向かってくる。
眼光は鋭い。
メチャクチャ怒ってるやん、、
と察した。
先生が来たら、一度集合するのも決まり。
円になって先生を囲む。
「…わかるよな?」
そこから買い食い者をメインに説教タイム。
あの雰囲気、今でも苦手。
気分ガタ落ちで試合に臨む羽目に。
チームの士気はド底辺にあったはずなんだけど、それでも試合は良い雰囲気のまま最終回まで続いた。
2-1で負けていたけど、一点決めれば延長戦。
ワンアウト、ランナーは三塁。
バッターはぼく。
もうこの状況はスクイズで決まり。
ランナーはピッチャーが振りかぶった瞬間に走り出す、ぼくはバットは振らずに顔の近くに構えて、ボールにちょこんと当てるだけ。
この原理で一点が取れてしまう。
そんな状況。
小学校の野球少年時代は、父に「バント職人」という称号を与えられていた(正直嬉しくなかったけど)から、「これ来たわ」と思っていた。
確信。
そういえば、中学野球から始まったのが、顧問によるサイン。
「耳」を触った後にベルトを擦れば、盗塁。
顎なら、積極的に打っていく。
耳ならバント。
「見逃せ」もあったかな?
サインと言っても数は少ないんですけどね。
バッターボックスに立って
ベンチの方を振り返る。
スクイズとわかっていながら、しっかり確認するのも決まり。命令は絶対ですから。
さあ、何が来るかわかるけど、一応ね。
ベルトを触った直後、
キャッチャーの後ろにいる主審がぼくと顧問の間をドンピシャで通って、ちょうど重なってしまった。
ベルトの後、何を擦ったのか、
全く見えなかった。
スクイズだろうけど、もしかしたら、1球目はバントのサインじゃなくて、「見逃せ」かもしれないし、なんなら、打っていけ、かもしれない。
どっちだ。
ただ、タイムをする勇気がなくて、続行。
1球目は見逃そう。
2球目にもう一回サインを確認しよう。
そう思っていた。
ピッチャーが投げた球は瞬時に、首と同じ高さだったから、ボールと判断し、見逃そうと決意。
すると、三塁ベースからランナーが走ってくるのを尻目にわかった。
あ。
キャッチャーがランナーをタッチ!
アウト!
ツーアウト!
やらかした。
スクイズだったか。。
頭は真っ白。
気づけば3球目をかすらせて最後はキャッチャーフライ。
スリーアウト!ゲームセット。
負けました。
「確認」を後回しにしたことで、
負けました。
ベンチに戻ると、みんなから白い目で見られました。あの雰囲気も、すごいキツかった。
給食の味噌汁を全部床に溢してしまった事件よりきつかった。
ふと思い出したこんな過去ですが、
「確認」を必ずしようと、改めて思いました。
今なんとなくふと思い出したってことは、気を付けろってことなんだと思います。