『トッカン 特別国税徴収官』を読んで

「税金の滞納」とか「脱税」とか聞くと、すぐ頭に思い浮かぶのは、国税局査察官じゃないですか。

 


あ、そうでもないですか。あらら。

 


と言いつつ、そんなぼくもこの本読むまで知らなかったんですけどね。

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彼ら査察官は企業の法務担当や弁護士などの、税や法を知り尽くした人を相手にします。

 


それに対して、一般人(税の素人)を相手にするのが国税徴収官

ドラマとか見てると、部屋にドカドカ入ってきて、金になりそうなものを差し押さえするシーンあるじゃないですか。紙とか貼って、「はい、これ持ってこー」て。

(※これは最終手段です。前々から警告してるのに無視をし続ける人に対して行われます。業界用語で、S(エス)って言います)

それがこの徴収官の主な仕事です。

 


ただ、「いい加減税払ってくださいよ」と迫る相手によっては、上記の「国税徴収官」という役職に漢字二文字が付け加えられます。

 


その税の滞納金額500万以上の人を相手にする場合は、特別国税徴収官、約してトッカンになります。

 


この物語は、

トッカンの補佐役である社会人3年目の新米女性徴収官のぐー子(鈴宮深樹)。

そしてドSトッカン(グー子の直属の上司)の鏡特官によって話が進んでいくエンタメ小説。

 


日々の滞納者への取り立て、そしてめちゃくちゃ厳しい、けど的を得てる言葉を言い放つ鏡によって、ぐー子が不満を漏らしながら、考え、成長していきます。

 


クスッと笑えるところもあれば、今度はハラハラし、気づけば「え…」と悲しくなるシーンが満載な小説でした。

ぼくはハマりました。

シリーズ化してるので、この感じだと残りの2冊買っちゃうかも(笑)

 


これを読んで考えさせられたのは、公務員の在り方ですね。

(トッカン関係ない…!)

 

徴収官ももちろん公務員で、立場の弱い滞納者は彼らを敵とみなしています。

そして、

「公務員だから、胡座をかいて、人生安泰だって思ってるんでしょ?」

というニュアンスの言葉が、物語の中に出てきて、なんだか胸が痛くなりました。

 


公立教師としての同じ公務員のぼくに向けられた言葉のようでした。

確かに、安定をこの手に収めたかった気持ちも否めない。心の保険をとして。

事実、教えることが好きなら塾や私立校で良いのに、あえて公務員としての教師になってますからね。


でも、胡座をかいてるなんてことは絶対ないなぁ。

 


常に、、少なくとも勤務時間内は、「どうすればもっとよい教育ができるか?」を考えてます。まあ、勤務時間とか関係なしに、断続的に考えてますね、24/7。くっだらないことからユートピアまで。

「教育に万能薬はない」、という立場でいるから、厳密には、「どうやって教育において、マシな状況を作っていこうか」を考えてます。

 

いつも真顔かニコニコしかせず、顔には出さないようにしてるから、「大丈夫?」と言われないけど、断続的にイライラしてます(笑)

現状のもどかしさから。

「もっとこうすれば絶対今よりマシじゃないか!上は何をやってるんだ!」

なんて。

そんな叫び声は儚くも届かないのは知ってるので、自分なりに動いてます。

 


今のところ、ぼくの隣に「安定」の2文字があるのは確かですが、それだけに決して満足はしてないですよ、てこと。

 

 

ただ、この小説にも出てくるように、周りからはそう思われてるのかな、と思うと、胸が痛いなぁ。

ましてやこのコロナ騒動の中、公務員に対する待遇が問題視されていて、肩身の狭さを感じつつあります。