ぼくの中から神様が消えた日

高3の頃,1冊のノートを作ったんですよ。

きったない字で,題名欄に,

「神様へのお願い」と書いて(笑)

当時の「神頼み用のノート」だったのだろう。

 

なんでそんなものを高3のくせして生み出したかと言えば,8年前の大学受験期に遡るわけですが..。

早い話が,びっくりするくらい1月のセンター試験でずっこけたんですよ。もう引いちゃうくらい。

 

私大入学NGで,浪人が許されない家庭だったので,

「自分の興味ある学部(国公立大)」と「センター試験の点数」を軸に,大学を選びました。

 

某通信教育企業が出してる判定サイトは,センター試験の点数を入れると,大学の合格率を出してくれます。

親切にも,「まあ,この点数なら,〇〇大学のこの学科であれば,二次でヘマしなきゃ受かるよ」という判定を出してくれるわけですよ。

最高のシミュレーターです。

 

担任の先生も,

「お前の進路的には,こことこことここが良いかもな」

と3大学,そしてその中で細分化された学科を5つ紹介してくれた。

 

今思えばあれは物件選びと大差ない。

 

その中の1つの大学が目に留まった。

学部自体は「国際&経済系」なんですが,

その中の2つの学科は,一つは「どちらかと言えば経済・社会学系」,もう一つは「どちらかと言えば言語系」でした。

 

そういえば,大学って同じ学部でも

その中の学科によっては偏差値がだいぶ変わってくるんですよね。

 

「医学部医学科」と「医学部看護学科」が良い例です。

 

ぼくがあのとき選択に迫られた学科も,

「医学部案件」まではいきませんが,

偏差値が3,4くらい違ってて,

ぼくの点数だと,

合格率が一つはB判定,一つはE判定でした。

 

幸いにも,ぼくが志望する言語系学科はB判定でした。

シミュレーターも「まあ,ここの学科なら大丈夫やで」と言ってるし,先生も「大丈夫そうだな,頑張れよ」と言ってくれましたし。

 

二次試験次第ですが,なんとかなるか,と出願。

 

 

出願して2日後の話。

人生で初めて「頭が真っ白になる」を経験しました。

 

なんとなく,出願後にシミュレーションしてみたんですよ。

「ぼく,本当にB判定かな」て。

 

結果,志望し,出願した言語系学科は,

合格率20%程度のE判定でした。

B判定だったのは,興味ない経済・社会学系の方で,

完全に自分の都合の良い方に捉えて事を進めてました。

 

あわわわわ,と失神しかけましたね。

どどどどうしよう,ともうわけがわかりませんでした。

 

親には怖くて言えませんでした。

E判定のところ受けるんだけどさ」

なんて口が裂けても言えない。

 

警察署行ってわざわざ,

「こらからちょっと殴りに行くんですが」

なんて言えないじゃないですか。

もう本当それくらい。

(と言っても,ぼくの場合,「事後」なんですが)

 

でも,相談できる相手は欲しかった。捌け口が。

友達にも詳細は伝えられず,

「ちょっと厳しそうだわ(笑)」しか言えませんでした。

 

そこで冒頭に出てきた「神頼み本」を独自出版し,

そこでめちゃくちゃ「神」に訴えましたよ。

 

「もし,神様がいるなら,ぼくをこの絶望から救ってください!ぼくは,この大学に受かったら,この日本を変えます!まず第一に,~~」

と,ひたすら自分を,神様というやつに,売り込んでましたね。

 

 

結果,E判定から受かっちゃったんですよ。

 

「あぁ,神様って本当にいるんだ」

と肌で感じたのが,晴れて大学生になる前の出来事。

 

ただ,この説も,

途中から怪しくなったんですよね。

 

大学入って,好きな人ができたもんだから,

あえてそのノートに書いてみたんですよ。

「OOが好きなので,付き合いたい!」て。

あんまりその子と話すことはなかったので,

それこそ逆転勝利を狙って。

 

もう完全に味をしめてたんですね。

ここに書けば,叶えてくれるんでしょ?と。

 

不思議と,1週間,半年,そして1年待っても,

何も変化が起きなくて,そのままその子は長期留学。

ぼくも時間差で海外逃亡。

 

あれれ,でしたね。

何も起きなかったなぁ,てへんてこりんな顔してました。

 

極めつけはそれから2年後の教採時期。

倍率高いけど一発で受かりたかったから,例のノートに懇願したんですよ。

 

そしたら一次を奇跡的に通過して,

「お?もしかしてあの時の奇跡再来か」

なんて思ってたら二次で落とされたんですね。

 

誰よりも受かりたい気持ちは大きかったはずだし,あのときの受験期に負けないくらい本気でノートにお願いしたはずなのに,それなのに綺麗に落とされたもんだから,「あぁ,神頼みって愚策なのか」てその瞬間から思いました。

 

それからは,

「結局は自分がこれまでしてきたことに応じて

 それ相当の結果が出る」 

という概念が芽生えました。

 

「サンタさんはいない」という結論を出す,

あの感情そのものでしたね。

寂しさと苛立ち,そして変な闘志。

 

良い結果が出たのなら,

「おめでとう。そのまま形になったね」

だし,

大した結果が出なかったのなら,

「でも,」「だってさ,」という前に,

「それってさ,自分がこれまで注ぎ込んだ

 投資に見合うだけの生産物なんじゃないの?」

と自分を律したい。

 

余談ですが,ぼくがサンタさんの存在を否定し始めた原因は,親戚や友人の吹聴ではなく,「赤い服と白い髭を纏ったサンタさん」が,家を出た後,軽トラに乗ってどこかいく瞬間を見たからです。