聴覚障害を持つ子の幼児教育
聴覚に障害を持つ子が入園する「幼稚部」ともつながりがあるので,昨日は研修の一環として,授業を参観させていただきました。
こちらの幼稚部へは,
補聴器だけでは聴力をカバーできない子が入園します。
(補聴器の子も入園しています)
「補聴器でカバーできないってことは,
それはもう耳が全く聞こえないってこと?
つまり,手話でしか生きていけないってこと?」
と思われる方がいるかもしれません。
実は補聴器以外にも,聴力を機能させる方法はあります。
補聴器を使っても,本来の聴覚を発揮できない場合,
人工内耳というものを取り付けます。
蝸牛(うずまき管が収まっている側頭骨の空洞部分)の中に電極を埋め込むことで直接,聴神経を刺激する機械のことです。
これによって,かなり聞こえるようになります。
と言っても,個人差はでてしまうのですが。
人工内耳によって,健常児とほぼ同じ聴力になる人もいれば,おじいちゃんおばあちゃんのお年寄りくらいの聴力の人もいます。
もちろん,人工内耳を付けても改善が見込めない人もいます。
そういう人は,手話や指文字,キューサインが必要不可欠なツールなので,重点的にトレーニングします。
人工内耳を付けると,こんな感じです。
後ろの送信コイルをコンプレックスに思う子もいるので,
人によってはあえて髪を伸ばして隠したり,
髪の下に隠して束ねる子もいます。
磁石でくっつくものなので,激しい動きをするとすぐに取れます。そういう意味では,「髪の下に隠して束ねる」のは,運動の時はいいかもいしれませんね。
簡単な人工内耳の紹介はここまでにして,昨日の話を。
幼稚部の授業と言うか,活動を見て思ったのは,
「健常児が入る普通の幼稚園と教えている内容は一緒なのかな」でした。
自分の名前を言ったり,
元気ですかという質問に対して自分の体調を言ったり,
言葉の意味を確認したり,
オルガンや太鼓を使って体を動かしたり。
聴覚に障害があるからと言って,何か特別なことをしているかと言われれば,そうでもないのかなって。
強いて言えば,先生が話すと同時に,場合に応じて手話もしていることでしょうか。ただ,それをジェスチャーと捉えれば,ぼくたちが受けてきた幼児教育と大差はないのかなと思われます。
また,もう一つ意外だったのは,どの子も,発音が上手でした。
発音が不明瞭なシーンはいくつかありましたが,
「クワガタ」を「クガワタ」,「はなくそ」を「はなすこ」と,年長さんまでずっと発音していたぼくなんかに比べたら,めちゃくちゃきれいです。
いろいろ偏見を持っていたぼくとしては,刺激的でした。
これを機に,もっと幼児教育を知りたいなと強く思う。
なんせ,教育の原点ですからね。