聴覚障害を持つ子の幼児教育

聴覚に障害を持つ子が入園する「幼稚部」ともつながりがあるので,昨日は研修の一環として,授業を参観させていただきました。

 

こちらの幼稚部へは,

補聴器だけでは聴力をカバーできない子が入園します。

(補聴器の子も入園しています)

 

「補聴器でカバーできないってことは,

 それはもう耳が全く聞こえないってこと?

 つまり,手話でしか生きていけないってこと?」

と思われる方がいるかもしれません。

 

実は補聴器以外にも,聴力を機能させる方法はあります。

 

補聴器を使っても,本来の聴覚を発揮できない場合,

人工内耳というものを取り付けます。

蝸牛(うずまき管が収まっている側頭骨の空洞部分)の中に電極を埋め込むことで直接,聴神経を刺激する機械のことです。

 

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https://ohmiminavi.co.jp/how-to-cochlear-implant/ より引用

これによって,かなり聞こえるようになります。

と言っても,個人差はでてしまうのですが。

人工内耳によって,健常児とほぼ同じ聴力になる人もいれば,おじいちゃんおばあちゃんのお年寄りくらいの聴力の人もいます。

 

もちろん,人工内耳を付けても改善が見込めない人もいます。

そういう人は,手話や指文字,キューサインが必要不可欠なツールなので,重点的にトレーニングします。

 

 

人工内耳を付けると,こんな感じです。

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wikipediaより引用

後ろの送信コイルをコンプレックスに思う子もいるので,

人によってはあえて髪を伸ばして隠したり,

髪の下に隠して束ねる子もいます。

 

磁石でくっつくものなので,激しい動きをするとすぐに取れます。そういう意味では,「髪の下に隠して束ねる」のは,運動の時はいいかもいしれませんね。

 

簡単な人工内耳の紹介はここまでにして,昨日の話を。

幼稚部の授業と言うか,活動を見て思ったのは,

「健常児が入る普通の幼稚園と教えている内容は一緒なのかな」でした。

 

自分の名前を言ったり,

元気ですかという質問に対して自分の体調を言ったり,

言葉の意味を確認したり,

オルガンや太鼓を使って体を動かしたり。

 

聴覚に障害があるからと言って,何か特別なことをしているかと言われれば,そうでもないのかなって。

強いて言えば,先生が話すと同時に,場合に応じて手話もしていることでしょうか。ただ,それをジェスチャーと捉えれば,ぼくたちが受けてきた幼児教育と大差はないのかなと思われます。

 

また,もう一つ意外だったのは,どの子も,発音が上手でした。

発音が不明瞭なシーンはいくつかありましたが,

「クワガタ」を「クガワタ」,「はなくそ」を「はなすこ」と,年長さんまでずっと発音していたぼくなんかに比べたら,めちゃくちゃきれいです。

 

いろいろ偏見を持っていたぼくとしては,刺激的でした。

 

これを機に,もっと幼児教育を知りたいなと強く思う。

 

なんせ,教育の原点ですからね。