ご意見番の母さん

テレビはすっかり見なくなった。

 

リモコンが去年壊れたのがきっかけで、主電源をつけてまで見る価値があるかなというのがそもそもの始まり。

 

昔はよく見ていた。

 

でも、正直、好きではなかったかも。

特に朝のニュース番組。

 

関東地区で起こった殺人事件に対して、ご飯を食べながら母が「あり得ないよね」と機嫌が悪くなっていたからかも。

バグダッドイラクでの戦争について報道されると、またしても母が「なんでかねぇ」と難色を示す。

 

別にそこから話が膨らむわけでもなければ、「どう思う?」と問われることもない。

 

母のため息交じりの意見を聞いて、「うんうん」と頷くだけ。

 

あんまり好きじゃなかったよね、あの瞬間は。

 

そういう点では、母のご機嫌が斜めにならないように、あのときは、心から戦争や人殺しがなくなればいいのにと思っていた。

 

それでもテレビっ子ではあったので、

標準語は幼少期から吸収していた。

 

だから、高校卒業後に地元を出て関東圏で一人暮らしを始めたけど、標準語を話すうえで悩むことはまずなかった。