あのときの模試の話
高校生の頃、国立の難関大学に入れたら格好いいなと思ってたから、夏休みにその大学の模試を受けてみたんですね。国数英、それぞれ120分の長~い模試。
部活を引退したばかりで、勉強の質も量も圧倒的に足りてなかったけど、なんとなく、冬くらいには成果が出るだろうと呑気なことを考えていた。根拠は全くない。
だから、今回点数悪くても全然OK。
とりあえず模試くらいは挑戦してみよう、
というのがそもそものきっかけ。
問題の9割が記述式。
逆に燃えるよね。
試験後の感想は、数学は絶望的に解けなかったし、国語は微妙。ただ、唯一、主要5教科の中では武器に相当する英語は、解いていてなんとなくの歯ごたえがあった。
120語で要約せよって問題も、
なんとなく自信あった。
その2か月後に、試験の結果が返ってきた。
クラスでその模試を受けたのは7人程度だったので、帰りのSHR中に名指しで担任に呼ばれて、教壇で受け取った。
自分の席に戻って結果を見る。
3教科とも、かなり取れていた。
自分が思っていたよりもずっと。
なんなら英語の偏差値は65だった。
あの歯ごたえは間違いなかったんだ、
と胸が高鳴った。
すると、同じ模試を受けたぼくの友人Aから、
「ごめん、なんか俺、こうだいの結果もらってるみたい。もしかして今持ってるの、俺のだったりしない?」と言われ、名前の欄を見たら、その友人の名前が書かれていた。
「おい(笑)」と思い、
笑顔で「はいよっ」と紙を交換した。
改めて、ぼくの「ホンモノ」の試験結果を見ると、点数もそうだけど、偏差値はババを垂れ流すほど低くて、一気に萎えた。
そして、ものすごく恥ずかしかった。
「何勝手にテンション上がってんだ。
お前の実力はこれだぞ」
と言われているような気がして、
その場で爆発したかった。
担任のセキュリティの緩さによる配付ミスで起こった大大大勘違い。あれは今でも覚えてるよ。「夏の段階でこの成績なら、マジで難関大うかるぞぼく」って本気で舞い上がっちゃったもん、45秒間。
「プリクラを撮ったあとに鏡で自分の顔を見ると起きちゃう作用」と近い、そんな感じだね。
そういえば、配付ミス事件の被害者もとい友人Aは、総合的に頭良いんだけど、その年度のセンター試験では日本史100点を叩き出していたっけ。
日本史、特に好きだったもんね。教科書はもちろん、誰も読まない資料集のさらに細かいコラムみたいなところから口頭で問題出しても、すらすらとその場で解説できてたもん。
そしてついこの間、彼はドイツ語検定準1級に合格していた。
性格はおかしいけど、
ゲラゲラ笑い合う仲だったな。
そんな彼とはもう6年くらい疎遠。
久々にそんな彼と会って、話をしてみたい。