『サラバ!』で急にノスタルジック

今、西加奈子さんの『サラバ!』を読んでいます。

上中下の三部作で、今は中を読んでる最中。

 

作品の内容を説明するのも大儀なんでそこは飛ばそうかしら。でも、読んでてすごく好感触。久々にグッとくる小説を読めてるなぁ、みたいな。

 

作中に、主人公の中学時代の回想シーンが出てくる。

 

これがもう、中坊の心情を如実に描写していて、

ずーと心が震えてるわけであります。

 

例えばほら、「告白をする」という行為そのものが、「好きな人」よりも価値があるというあの謎の感情、あるじゃないですか。

告白をするまで、というか

告白をするかしないかのギリギリのラインを

保ったまま学校生活を送ることに価値があるあの感じ。

 

あの期間が、本当に楽しい。

「好き」という感情があり、その先には「告白」だったり「付き合う」があるはずなのに、「ゴールさせてたまるか!」という下心があるじゃない。

 

大人になったとて、

その感情は誰しもあると思うけど。

 

いざ告白して、付き合うとなると、

数日後には「あぁ、違った。」となるあの微妙な感じ。

 

男友達に「お前あの子が好きなんだろぉ!」と煽られたり、「ほら、好きって言いに行けよ!」とその子に聞こえるようにいじられたり、その子の周りの女子からチヤホヤされるとか、そういう瞬間が好きだったんだって。

ゴールまでのストーリーが楽しかったんだって実感させられるんですよね。

 

この本を読んでると、学生時代の自分を思い出させるから、ついつい胸が苦しくなる。

 

付き合っていたとは到底思えない元彼女。

 

告白する前も後も、全く話をせず、

2日に一回のペースで手紙交換をする関係。

 

手も繋ぐこともなかった。

 

2人でデートなんてまずありえなかった。

 

 

気づいたらものの1カ月で自然消滅。

 

あの頃の恋愛が、ノスタルジック。