『自閉症の僕が飛びはねる理由』を読んで
軽度の自閉症スペクトラム障害のある子と触れ合う機会がある。
その子とは、最近、心のすれ違いが多いです。
というかそもそも、この子はどういう考えで日々を過ごしているのだろうかという、かなり初歩的な疑問が今更になって湧いてきたことから、読んでみたのがこの本。
重度の自閉症である東田さんの本心が綴られた貴重な本です。
シンプルな質問に東田さんが丁寧に答えていく感じ。
たとえば、「どうして何回も同じ注意を受けるの?」「なぜじっとしていられないの?」「なぜ突然笑い出すの?」という傍から見たら結構攻めた質問に対して、「それはね,,」と優しく答えてくれる、そんな解剖学的な本。
あっという間に読み終えられると思います。
『自閉症の僕が飛びはねる理由2』も勢いで買って読んじゃいました。
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読み進めていくと、「あのときの言葉かけ、間違ってたなぁ」という後悔、「ごめんね、そういう気持ちだったのね」という気持ちを分かってやれなかった悲しさで、すごいやるせない気持ちになりました。
あのときの笑いは、嬉しいからではなく、
もしかして悲しくて笑いだしたのかな、
とか
同じ話をついつい一日に何度もするのは、記憶の仕方の構造が、そもそも一般人のそれとは違い、ポツポツと並べられた記憶の点を、毎回地道に拾い上げては集める作業と似てるからとか、
いろいろと不思議な行動の理由がわかっていった。
自閉症と言っても、程度は本当に人それぞれ。
大根の種類は全部で100種類以上あるそうですが、
それと同じ感じで、一括りにできないのが自閉症。
てか、人間もそうか。
ぼくという存在は唯一無二だし、
ぼくとまるっきり一緒の人間はいない。
思考回路や一つ一つの行動が起こる原因も
カテゴライズはできても、要素は違う。
この作者もあくまで自閉症者のうちの1人。
この人がすべてではないです。
それでもこの本は、
「あの子はもしかして..」を広げる大きなきっかけになった。