ヒョイヒョイ付いていったその先

大学時代の遠く離れた実家への帰省方法は夜行バス一択でした。

帰省のたびに新宿へ行っていたんですけど,田舎モン過ぎて,チラシやティッシュ配りの人から基本なんでも受け取っていたんですね。

 

「これはきっと善意で勧誘なんかじゃない」という考えが前提にあった純粋無垢な男の子だったので,その先にある「面倒くささ」が全くわからなかった。

付き纏われたりするあの面倒くささとかね。

 

だから,向こうから話しかけてきても,真摯に答えていた。

向こうは聞き上手だったから,タダでこうやって気持ちよく話せるなんていいね,なんて呑気に思っていた。

 

過去に一度だけ,ビラ配りの人と意気投合し過ぎて,知らない人にヒョイヒョイ付いていったことがある。

キレイなお姉さんでした。

今思えば,キレイだったからすかさずチラシを受け取ったのかもしれない。

「バッタリ会った人とうまくいって,このままお付き合いできるんじゃないか」というくだらないロマンスがそうさせたのだ,きっと。あの頃は若かったものの。東京ならそれを叶えてくれる,って思ってたのだ。

 

新宿駅前で30分も立ち話した末,「さあ,どうぞ」と言われるがままにその女性に付いていった。行き先はもちろん,チラシに書いてあった英会話学校

 

実際行ってみると,どこかインチキ臭く,違和感が漂うどうみてもおかしな空間でした。あやうく入会させられるところでなんとか正当防衛のための「嘘」をついて,逃げ切れました。

 

それ以降,

「簡単に会ったばかりの人にはついていかない

(ハニートラップ然り)」

が定着しました。

 

20歳にして,その段階でその教訓を得たなんて,

今思えば過去の自分に愕然とする。

 

 

 

そういえば,今いる勤務先の学校にも,ヒョイヒョイ付いていってしまいたくなる人(男です)がいるんですよ。

 

最初お会いしたいときは,野田洋次郎だったら「なんでそんなに素っ気ないのさ」と言いたくなるくらい,クールだった。

1カ月たっても,あんまりお話しすることはなかったのだけど,この間,「スーパーの話」から「おススメのお店案内するよ」へ発展し,退勤後,いろいろお店を案内してくれながら,おしゃべりをしていた。

病院ならここがいいよ,総合病院だから年休使って行くといろいろ楽だよ,とか。

もし車替えるなら,言ってくれればコスパ最強のところあるから,担当の人に話通しておくよ,とか。

もし家建てるなら,ここの不動産お勧めだし紹介するよ,とか。

 

おいしすぎる話だから,きっと裏があるんだろうなと,同じ教職員を疑いつつも,なんだか直感的に大丈夫そうだとも思う自分がいた。

 

極めつけは,

「なんかあったら俺に言って。動くから。」

でした。

 

1カ月も勤務してると,

「自分はこういうところで苦しむのかな」

というのがわかり始めてくる。何かとは言わないが。

 

それを分かったうえでの発言がそれだったので,

「あぁ,この人には付いていってみてもいいかも」

と思えた。

 

考え方がぼくと一緒というわけではないです。

教育観とかも完全合致はしないだろう。

でも,親和性はある気がする。

 

ぼくの(現場に対する)希望を叶えてくれそうな,そんな感じ。

 

若い人をバックアップする気でもいる。

「ベテラン層が,『僕が!私が!』なんておかしい話だよ。若い人が積極的に動ける環境がいいのにね」って,自身がベテラン層に所属しているのに言っていた。

 

一生付いていきます!お世話になります!

と思いつつも,簡単に付いていくと痛い目見るのかな,という思惑も働いている。学校組織のチームメイトであるはずなのに(笑)

適度な距離感で,様子を見ていこう。

 

ただ,大丈夫な気がする。