『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』を読んで
サブタイトルにもあるように,お金の価値観,広告の方法が
メインに書かれているビジネス本です。
西野さんが,絵本やこの本をどのように宣伝し,
どのように売っていったかが主軸に置かれてました。
以前紹介した『新・魔法のコンパス』と重なる部分もあったので,読みやすい内容がさらに読みやすくなったという面もありますが,本も分厚くなり,内容も若干専門的なところもあって,読み応えある一冊。
今回も自分なりにまとめてみる。
お金の意味が変わった時代
何かを始めるのに,結局はお金が必要です。
金融機関から借りることなくお金を生み出す...
クラウドファンディングが今は主流でしょうか。
簡単に説明すれば,「OOやります!お金ください!」と
ネット上で募ると,見ず知らずの人からお金が寄付されるシステム。
あれって,どんなに有名な人が募っても,お金ってあんまり集まらないらしいです。
どんなことをするか,
そして実現性はどれだけあるか。
寄付者はそういうところに注目しています。
「この人だから任せられる。」
という信用が大事になってきます。
お金=信用を数値化したもの
これがクラファン。
そして,「どれだけ信用されているか」がこれからの通貨と考えると,果たしてぼくは信用を周りから得られているのか,怖くなった(笑)
信用の稼ぎ方
そもそもその「信用」とやらを稼ぐにはどうすればいいのか。
結局は,嘘はつかない,つまり自分の意思を明確に表明すること
これに限るんだと思います。
タレントであれば,
そこまでおいしくないのに『美味ぇぇ!』なんて言ってたら,今のこのネット社会では,すぐバレちゃいます。Twitterで,「あそこのレストラン,実はそこまでなんだよ,忖度してるね」なんて言われたら,その時点で視聴者の信用損失に拍車がかかります。
タレントに限らず,教師もそう。
ある一つの授業方法,教育があったとして。
欠点をわかっているのに,それをあえて無視して,というか知らないフリして,
「これめちゃくちゃいいですよ!」
なんて言ってたら,保護者はおろか,生徒からの信用も失います。
でも,まあ,上記二つは,番組ディレクターや学校長の圧力があるから仕方ないんでしょうけど。。
そういう意味では,嘘をつかないためにも,言いたいことをはっきり言うためにも,まずは自ら環境を作っていく必要があります。
例えば,意思表明をすることで,最悪の場合,職がなくなり,お金がもう入ってこないようなそんな状況をまずは無くすことが肝になってくるかと。
教師なら,教師以外の別のキャリアも並行で進めていっている状況,いわゆる副業があれば理想ですね。
そっちの副業を膨らませていれば,
いざというときにシフトできますし。
副業にもっと緩い世界(特に教育界),ならないかなぁ。
と,思ってる時点で,ぼく自身,
公務員という立場に執着してるんだなぁ,と少し悔しさが芽生える。
インターネットが与えたもの,壊したもの
インターネットは,ぼくたちに様々なものを与えてくれた。
誰とでも繋がれるネットワーク
なんでも調べられるようになったアクセスビリティ
それらからさらにいろんなものが派生して生まれてきているのは想像に難くない。
けれども,破壊したものも大きい。
「物理的な制約」である。
本屋であれば,物理的にスペースが必要だったのに,
ネット上の本屋(Amazonとか)は,それがない。
スペースを取らない「データ」だから。
本屋は大打撃でしょうね。
「これじゃあ買ってくれないやん」と。
本屋に限らず,どの業界でも,
この物理的なフリー化は様々な変化を与えている。
要は,それに合わせて売り方を変化させること,
これがこれからのビジネスで必要なことなんだなと改めて思い知った。
でも,物理的制約がある本屋でも売れる方法はある。
それは,店主やスタッフの秀逸な本のレビューです。
「この人が言うなら..」という信用を顧客から得ていれば,ネット社会でも関係なしに,一定のお客さんを確保できる。
そして,本屋とは別に,
独自のHPとか,サロンとか,オンライン本屋を作れば,
ネット上の世界でもやっていける。
本を売るだけでなく,何か特典も付けて差別化することも重要になってくるが。
どんどんネタバレさせていこう
西野さんは,絵本にしても書籍にしても,無料公開している。
ただ,公開の場所を,プロローグはだれかのブログ,第一章は自分のフェイスブック,第2章は..
のように,公開場所を散りばめるという戦術を使っているが。
というのも,人は,何かの動機を起こすには,
ネタバレを欲しているからにほかなりません。
ぼくの趣味は,海外旅行で絶景を眺め,写真におさめること。
ただ,その絶景を見に行くのも,どこかのサイトでどのくらいそれが自分好みの「絶景」なのかを,あらかじめ確認してから行く。
そりゃあそうです。
新しい大陸を見つけようとしている冒険家じゃあるまいし。
この情報化社会で,「知らんけど行ってみる」人は,
そうそういないんじゃないでしょうか。
3月にバンクシーの絵を見に行く予定だけど,
あらかじめどんな人がどんなを描いているかを確認し,
好きだなぁと思ったから行く。
これと同じ現象を駆使して,西野さんは本を公開している。
(だいぶ内容省いているので,詳しい理屈を知りたい場合は,
実際にこの本を読んだ方が良いかも。)
ネットで見てみたら好きだった。
だから,実際にこの目で見てみたいし,手に入れたい。
これが当たり前になる世界がもう来ている。
そういう意味では,商品の無料化が進むこれからの世界。
「無料公開によって実力が可視化されて売り上げが上がる人間」と,「無料公開によって実力不足が露呈し売り上げが落ちる人間」の2種類ができあがる。
(無料化と言っても本当の意味では無料化ではなくて,
マネタイズのタイミングを後ろにずらしているだけ)
「ぼくの実力を見せるよ!お金払わなくていいからさ!まあ,でも,よかったら是非投げ銭してってくれよな」という世界。
ぼくは好きだなぁ,この世界。
高齢社会?ウェルカム!
アンチエイジング(抗老化)という言葉がある。
老人化に対抗するぞー! ということですが,
医療制度・保険制度を充実させた結果がこれであると考えると,なんか,う~んとなる。長生きの次は若作りかぁ,と。
歳を取ることがなんだか悪いようなニュアンスがある。
そういえば日本って,
100歳オーバーは,1963年時点では153人だったのに,
2050年には100万人を突破することが予想されているんだって。
平均寿命も男性が84歳,女性が90歳へ。。
100歳オーバーをはじめとする老人が
人口のほとんどを占める世界。
個人的には,おもしろそうだなと。
暗い未来が待ってる..という人がいるけど,
AIやらマシーンがなんとかしてくれると(楽観主義の)ぼくは密かに思っている。
ただ,老人になることのアドバンテージを提示する必要はあるなぁ,と。
「歳を重ねる≠衰え,=成長」となるような何かを。
というのも, ぼくらの老後は,余暇を楽しむなんて言ってられなくて,働いてお金を引き続き稼ぐ必要がある時代なんですよ。
「20~60歳までの仕事」&「60~100歳までの仕事」,
という後半戦まで設けられてしまいました。
働くことが前提なわけであります。
そうなると,若い人間やロボットにはない,
老人の唯一無二性を見出し,仕事にしていくことが重要で,
老人になることに引き目を感じさせないようにしなきゃいけないわけです。
ちょっと西野さんの体験談を書いてみます。
昔,西野さんが沖縄行ったとき,80歳近いお爺ちゃんが一人で切り盛りしてる居酒屋に飲みに行ったんですって。
その店主は,カウンターで飲む西野さんの接客をしながら一緒に飲み,笑ったり泣いたりしていた。スナック的な感じですね。
ここまではどこにでもある居酒屋。
でも,その店主が,誰よりも先に酔いつぶれ,仕舞には寝てしまったんですって。
「まあ,いいか」と,しばらく一人で飲んでたら,ひとりの客がやってきた。
ここで「今は店主寝てるから..」と追い返すと店がつぶれるかもしれないと思い,西野さんが接客を始めたんですって。ドリンクやつまみの注文をとり,提供。
そのお客さんが「大変だね~」なんて言ってたら,また新しいお客が。
他人事のように話していた最初の客が,今度はその客を接客。
また新しい客が来たら,2番目の客が新しい客を接客。
こういう現象が起きたそうな。
頼りない店主により,ペイ・フォード(恩送り)が自然発生したのだ。
もし,2,30代の人が店主であればきっつい叱責は逃れられない。
ロボットであればバンバンと叩かれるだろう。
でも,老人にはそうはいかない。
「しょうがないなぁ~」と折れる人は折れる。
少なくとも,ぼくはそうだ。
そういう意味では,老人には愛される欠陥(許される欠陥)があるんだな,と。
老人のこのプラスの欠陥が,
仕事をしていく上でわりとキーになるんじゃないかと思う。
おっちょこちょいが許されるステータス。
これをどう活かすか。
そう考えると,老人になることで生じる問題の打開策をなんとか見出せれたから,ひとまず安心。
とは言っても,未来はどうなるかわかりませんからね~。