教育とトレンド
シンプルにずっと思っていたのは,
「教育」と「トレンド」の違いが不明瞭でした。
トレンドと言うと,つまり,
ファッションだったり,グルメだったり,
そういう物理的あるいは視覚的流行です。
タピオカブームとか良い例ですね。
もちろん,両者の明確な違いはわかります。
ただ,「パンデミックの起き方」がイマイチ,ぴんときてなかった。
だってどちらも至極身近なものじゃないですか。
教育なんて,ほら物心つく頃から,
大多数が,「気づけば学校にいました。」「なんか知らんけど,進級してました」じゃないですか。
そういう意味では,学校て誰しもが通る当たり前の道です。
それも,上記のトレンドと同じように,
日常生活に密着してるような普遍性がある。
だから,なんで「教育」って,ブームが起きにくいんだろう,と素朴な疑問が湧きおこってました。
そしたら西川先生は,
「それこそキャズムじゃないか」
とのこと。
キャズムとは,ハイテク産業に出てくる用語で,
まあ,簡単に言ってしまえば,
イノベーター(物好き)・アーリーアドプター(イノベーターに次ぐ物好き)とアーリーマジョリティ(周りの様子次第で動く人)の間にある「落とし穴」のことです。
企業が何かを開発して,それを市場に出すとします。
イノベーターとアーリーアドプターにそれが受け入れられても,そのキャズムを戦略(飛び越える)できないと,その商品は市場全体(アーリーマジョリティ/レイトマジョリティ/ラガード)にうまく行きわたらない,,
というものです。
で,先生によれば,
「教育」もそのキャズムにモロ苦しむ分野なんですって。
(これを聞かされたとき,あ,そういえば『学び合い』もそうだったじゃんって改めて思い出しました(笑))
キャズムが生じる理由は,
その商品を利用することで特別努力が必要になってくるかどうか
です。
『学び合い』であれば,方法はすごいシンプルだし,
本通りのことをやれば一定の成果は出せる。
ただ,考え方を理解していないと,必ずどこかでつまずく。
トライ&エラーの繰り返しで,本を読んだり(=努力)することが必要です。
それに比べたら,ファッションやグルメって,
顧客が努力する必要がない。
着用してみて良さげだったり,食べてみておいしかったら,
それをこれからも着たり食べたりするだけ。
好ましくなかったらそれで止めればいいだけですからね。
西川先生は,キャズムを攻略するために,
ホールプロダクトとして,難しい学術論文をわかりやすく噛み砕いた本を多数出版した。
ぼくなら,どういうホールプロダクトを世に出せるか,,
熟考もんですね。